HokoHokoが出来上がるまでのストーリー
1.お灸との出会い
まず、HokoHokoを語るにお灸の話は欠かせません。私のお灸の出会いをお話をさせて頂きます。10歳の時から私は大好きだった当時72歳の祖母のお灸係でした。
大きなお灸を黒ずんだ皮膚に乗せて『熱い』といいながらお灸を自分で施す祖母を見て、『どうして熱いのに大きなお灸にするの?小さくしたらダメなの?』と聞く私に『目が悪いから小さいお灸だとみえないの』と笑って答えてくれました。『私がやってあげようか?』というと『うれしいね』と祖母。それから私のお灸係が始まりました。ヨモギから出来た『もぐさ』を指でひも状により、米粒程にちぎって皮膚に乗せ、細い線香でもぐさに火を付ける。それを3荘づつ何か所かに施すだけのお灸係りです。
固くこよると熱く、小さすぎると火をつける際皮膚と火が近くなり熱い。火についたお灸が転がって祖母の洋服を焦がしてしまったり、掴んで指をやけどしたり。祖母と笑ったり慌てたりのお灸でしたが『このお灸のおかげで神経痛が良くなった、身体の調子が良くなった』と祖母は喜び、私はとても誇らしく。そんな祖母との思い出が私のお灸のはじまりです。
2.塩灸との出会い
私は美容師ですが、鍼灸マッサージ師の主人の影響を受け12年前に鍼灸学校に入学。『鍼灸クラブ』に入会。そのクラブで『塩灸』に出会いました。
当時、わら半紙で8センチ四方、厚さ5㎝程の箱をわら半紙で折り、大さじ山盛り2~3杯程の塩を入れ、その上に大きいイチゴ程度の大きさのもぐさをとがった方を上にした形で塩の上に置き、火を付けます。それをおへその上に置きしばらくすると、何とも言えない気持ち良い優しい温かさ、心地よさとぬくもりが身体を包みます。これぞ『癒し』。このお灸を祖母にしてあげたいな。叶うわけもありませんが、塩灸はそんな優しい気持ちにもさせてくれました。
3.腰痛と子宮筋腫
女性に多い子宮筋腫。私もそうでした。鍼灸学生3年生の夏1ヶ月に続く出血はどんどんと酷くなり恐怖の日々。出血量も生理痛もひどく1日2錠の鎮痛剤を多い時は6~8錠服薬していました。毎日かかりつけの産婦人科で点滴。そしてある日突然の腰痛。こんな腰痛は初めてでどこを向いても何をしても治まる事がない痛みが継続し、手が空けば何時であろうと主人がマッサージを施してくれ、なんとか過ごしていました。そして腰痛が始まって4日目の早朝、相変わらず腰痛で目が覚め、主人が気付きマッサージを初めて1時間ほどした時『フワッ』と一瞬にして腰痛が抜けました。腰痛の原因であろう触っていた神経から外れた感覚。一瞬にしてこの3日間の痛みが消えた瞬間でした。それと同時に子宮に大きな冷たい石があるかのような、冷たくて固い子宮を感じ『やばいやばいやばいやばい‥‥怖い怖い怖い怖い・・・』その言葉しか口から出ませんでした。何かが起きている。そして手術。
4.術後の治療方針と治療の開始
2週間後退院しましたが、体のダメージは直ぐには回復できず、腸閉塞の症状も現れ、あと半年後に控えた国家試験だけをゴールに定め、午後から営業していた美容室を休業し、午前中、学校に行くだけの生活に切り替えました。さてこれからどの様に治療しよう。虚弱になった体は疲れやすく、へたりやすく、冷えやすい。鍼灸マッサージ師の夫のおかげで、まずは無理せず、体を温める事、冷やさない事、排泄、栄養、睡眠、リラックス、適度な運動(散歩程度で良い)を目指そう。と治療方針が決定。学校まで片道車で1時間20分。幸いにも通っている場所は鍼灸学校。自宅に帰る前に先生に治療して頂こう。実技授業のない授業後はお灸を中心とした治療、夜は毎日自宅で、適度なマッサージをしてもらう治療を始めました。
5.お灸治療と効果を実感
私の身体は術後直後に加え、腸閉塞の症状もあり食べ物も注意していた為か、底力のない体力でした。むくみ、便秘、膨満感、体が感じる冷え、感じてない冷え、食欲不振、脱力感等、、
しかし、お灸を施した日の夜はむくみ改善の効果があり排泄の働きが良くなり、排泄が出来ると自然と食欲もわく。鍼やマッサージをするとほぐれてよく眠れる。時に鍼やマッサージは少しで良いと思う日もありましたが、お灸だけは『したい』と自宅でわら半紙を使用した塩灸を開始。
体を温める事、冷やさない事、排泄、栄養、睡眠、リラックス、適度な運動(散歩程度で良い)
の中の『温めるとリラックス』は、この『塩灸』がかなりまかなってくれました。
少しずつ体力が貯蓄され・・・
6.無事鍼灸師免許取得
半年間ただただ治療方針を守り、試験合格だけに時間を注ぎ無事ゴール。
この経験から主人の治療室でお灸をさせて頂いたり、お灸の販売やワークショップ、イベント出展等
お灸の薦めを始めました。
7.誰でも使えるカイロが欲しい
ある日糖尿病の患者さんが治療にみえました。足が氷のように冷たく温めて差し上げたいのですが
糖尿病の方はお灸は出来ません。なぜなら火傷は致命傷。低温火傷がきっかけで足を切断することもあります。
糖尿病
◎高血糖が続く事により動脈硬化によって血流障害が起きると血管が細く血流が悪くなり、傷を治すための酸素や栄養が行きわたらなくなる
◎血流障害により酸素や栄養が運びにくくなるため免疫低下とも関係する
◎神経障害があると感覚が鈍り、熱い、冷たい、痛いが分かりにくくなり、傷が出来ても気が付きにくく悪化しやすい
温めてあげたいのにあんな小さなお灸が出来ないんだ。電気あんかや湯たんぽ、カイロ。どれも熱いかな?と思った時には、感覚鈍麻で低温火傷を負っている可能性がある。
子供
あるお母さんが、子供は湯たんぽが大好き。子供でも安全に使える湯たんぽがあるといいな
誰でも使用出来るカイロが欲しい!!と心から思いました。
8..治療と美容、成長までが繋がった
ある日、美容師として髪と肌をきれいにするため大切な事を書き出していました。
正しい洗顔、水分、脂分、栄養、食事、睡眠、排泄、リラックス、キレイな空気、冷えは美容の敵、清潔な寝具、、、ん?術後と同じ。
いや、健康の維持も、病気の予防も、体の回復も、キレイでいる生活も全てベースは同じ!!
すると後のHokoHokoを一緒に作る事となる保育士の友人が、子供の成長も同じだね。
温める事、冷やさない事、排泄、栄養、睡眠、リラックス、適度な運動(散歩程度で良い)
は健康、美容、成長すべての共通点でした。
9.手軽に誰でもご自宅で、いつでも安全に繰り返し使える『塩灸』を作りたい!!
これらの出来事・経験から何とも言えない気持ち良い温かさと優しさ、心地よさ、ぬくもりを
手軽に誰でもご自宅で、いつでも安全に繰り返し使える『塩灸』を、作りたい!!
10.そしてチャレンジが始まりました。
ホコホコというネーミングは
ほかほか、ポカポカ、フワフワ、もこもこ、、、柔らかくて暖かい響きをイメージして名付けました
1. 初代HokoHoko 2016.9
初代のHokoHokoはガムテープの芯やサランラップの芯を使い、内側にアルミテープを貼り、底辺に布を当て、周りにかわいいマスキングテープを貼り、中に塩を入れもぐさをのせ、火をつける方法からスタート致しました。
問題点
1. 火を使う・・危険度が増す。使用出来る人が限られる。徐々に熱くなる
2. 煙がたつ・・体・髪・部屋に臭いが付く
3. 使用後に片付けが必要・・寝ながら使用できない
2. 2代目HokoHoko 2017.9
火を使うことをやめ、塩を袋を布袋に入れ電子レンジで温めてみました。
問題点
1. 温度が熱め
2. 何となく冷めやすい
3. 3代目HokoHoko 2018.3
その中に粒粒を入れる事で蓄熱し長持ちするのではないか?と考え、家にあったハト麦をとりあえず入れてみました
問題点
1.ぜんざいの様な臭いがする。臭いが苦手な人もいる
2.ハト麦を軽く砕きビニールの袋に入れ縛って置いたら虫がわいてしまった
穀類は、虫の問題と、臭い、食べ物を使用することに抵抗のある人も見えました。
また穀類のカイロは私が作らなくても沢山、世に出回っていました。
4. 4代目HokoHoko 2018.4
お灸の元、ヨモギを粉末化してみました。
問題点
1.臭いの問題
2.加熱過多でヨモギが焦ました
塩と植物は電子レンジで焦げる可能性がある。
. 5代目HokoHoko 2018.6~
何を入れたらよいかイメージ、イメージ。つらい時や生き詰まった時は考えない。
そんなある日誰でも使える塩灸のような心地よいカイロを開発するんだ、と試行錯誤の中塩を触わりながら私の心は与論島の海の景色の中にいました。
あのきれいな海にいつも包まれていられたらなあ~。その時
『塩・サンゴ・貝殻・星砂』『海水と羊水』『太古の海で生命は誕生した』『なぜ海という字に母という字がはいるのか』『産後に珊瑚』。そんないつかに聞いた海に関わる話が頭を駆け巡りました。
そしてこのカイロが産声をあげました。
海と体内は似ています。塩はナトリウム、サンゴはカルシウム。体内に欠かせないナトリウム。骨はカルシウム。だから『海のカイロ』です。体に馴染みます
問題点
1. 加熱時間によっては生地が焦げてしまう
2. どうしたら安全に誰でも使えるものに出来るのだろう
チャレンジ点
1. 発明研究会にて発表させて頂き好評を得る
2. ペットに使用出来ないかとアドバイスを頂く
6. 6代目HokoHoko 2019.9~
燃えない生地を探すのを諦め、まずは業務用をとラミネート素材でおしぼり保温機を使用するタイプに。
同業者の女性鍼灸師さんにモニターになって頂く
問題点
1. 誰でも・・使えない
2. 家庭で使えない
3. お客様が欲しくても、おしぼり保温機がないと使用出来ない
4. 電子レンジでは焦げる
7. 7代目HokoHoko 2020.12~
やはり燃えない生地を探すことに。
そしてついにHokoHokoが完成!!と思いきや
当院使用。お客様に好評頂く。モニターさん開始
問題点
1. それぞれの家庭によって、電子レンジが違う
2. タオルを巻いて電子レンジにかけたいが、加温過多だとタオルが焦げる事がある
3. カバーだけでは、低温火傷の可能性が0ではない
4. 一般に販売している電子レンジで温めるカイロと比べると金額が高価
5. 水に弱い・洗濯できない
そして新たなる課題
そして1件破れたと連絡があり調べてみると、前々日少し濡れた為日光で乾かした。その際小さな塩の塊が
縫い目に入り込み、加熱され、糸を燃やしてしまった事が判明。
糸も燃えないものを使用する
11.ついに発売 クラウドファンディング『マクアケ』
8. 8代目HokoHoko 2021.10~
ついに、発売を決めた8代目のHokoHoko。
問題点
1.それぞれの家庭によって、電子レンジの温度が違う
2低温火傷の可能性が0ではない
3.一般に販売している電子レンジで温めるカイロと比べると金額が高価
4.水に弱い・洗濯できない
全てをクリアしてからにしようと思っていましたが、販売して欲しいとの声、これまでモニターをして下さった女性鍼灸師さんの声、お客様の声、応援して下さった人々の声を信じ、また5年の月日、コストパフォーマンスの妥協点、そして何より挑戦してみようという気持ちが一歩の勇気となり、2021/10クラウドファンディング『マクアケ』への挑戦となりました。
改善点
1. 1.2はタオルを巻いて使用頂く
2. 3.は今後の課題
3. 4は介護や子供さんの夜尿等の心配の場合はビニールに入れてに使用頂く
事でクリアして頂く事を提案いたしました。完全とはこんなに難しい物かと日々感じております。
12.黄色いうみのカイロHokoHoko完成
9. 9代目HokoHoko 黄色いうみのカイロHokoHoko 2022.10~
8代目のHokoHoko問題点は、使い手様の協力とご理解、納得によりなんとかクリア致しましたがつぎの疑問が生まれました。
8.手軽に誰でもご自宅で、いつでも安全に繰り返し使える『塩灸』を作りたい!!
『いつでも 安全に』
私の目指したカイロは
◎安全に=高齢者の方がレンジの温度や時間を間違えても問題なく
◎いつでも使える=災害時の避難所で・停電の際電力がない場所でも使用したい
でした。
課題点
1. 火に強い
2. レンジで加温過多が起きても大丈夫
3. 万が一災害が起きた際も湯煎可能なビニールに入れての湯煎、アルミ箔をくるんだ上での
BBQ台での加熱を可能にしたい
そして、熱に強い事にこだわった結果
『黄色いうみのカイロHokoHoko』が出来上がりました
※わかりにくいですがパッケージも黄色です
よろしくお願いいたします。